はじめに
Linuxのファイルシステムを整理し、ファイルを分類するために欠かせないのが、新しいディレクトリ（フォルダ）を作成する操作です。この役割を担うのが、mkdir（make directory）コマンドです。
mkdirコマンドは、指定した名前でディレクトリを作成するシンプルなコマンドですが、複数のディレクトリを一度に作成したり、階層的なディレクトリを一括で作成したりする便利なオプションを持っています。
LPICレベル1の試験では、特に階層構造のディレクトリを一括で作成するためのオプションの理解が問われます。この記事では、mkdirコマンドの基本的な使い方から、コマンド名の由来、必須オプション、そしてLPIC対策として押さえるべきポイントまでを詳しく解説していきます。
mkdirコマンドの基本
まずは、mkdirコマンドの基本的な使い方と、ディレクトリ作成の書式を確認しましょう。
mkdirコマンドの書式
mkdir [オプション] ディレクトリ名...- ポイント: ディレクトリ名は、現在の作業ディレクトリからの相対パス、またはルート（
/）からの絶対パスで指定できます。
主要オプション一覧
| オプション | 意味 | 補足 |
-p | 存在しない親ディレクトリも同時に作成する | parents |
-v | 作成されたディレクトリの名前を詳細に表示する | verbose |
-m | 作成するディレクトリのパーミッション（権限）を指定する | mode |
コマンド名の由来：なぜ「mkdir」なのか？
mkdirコマンドの「mkdir」は、英語の “make directory” の頭文字を取った略語です。
- make: 作る
- directory: ディレクトリ
つまり、「ディレクトリを作る」という、その機能そのものを直接的に表しています。シンプルで分かりやすい命名は、Unix/Linuxコマンドの特徴の一つです。
必須オプションの詳細と実践例
mkdirコマンドのオプションの中でも、特に複雑なディレクトリ構造を作成する際に役立つものを、主要オプション一覧の順番に沿って詳しく見ていきます。
1. -p (parents) オプション：親ディレクトリの同時作成
意味: 作成したいディレクトリのパスに、まだ存在しない親ディレクトリが含まれている場合、それらの親ディレクトリも同時に作成します。このオプションがない場合、親ディレクトリが存在しないとエラーになります。
実践例:
mkdir -p data/2026/Q1
ls -R でも確認可能です。
オプションの由来: pはparents（親）の頭文字です。
2. -v (verbose) オプション：処理内容の表示
意味: 実際に作成されたディレクトリの名前を、実行後に一行ずつ詳細に表示します。特に-pオプションと組み合わせて、どのディレクトリが新しく作られたかを確認するのに便利です。
実践例:
mkdir -pv documents/reports
オプションの由来: vはverbose（冗長な、詳細な）の頭文字です。
3. -m (mode) オプション：パーミッションの指定
意味: 新しく作成するディレクトリのパーミッション（アクセス権限）を、作成と同時に指定します。パーミッションは通常、8進数（例: 755）で指定します。
デフォルト: 通常、ディレクトリはumaskの設定に基づいたパーミッション（例: 777からumaskを引いた値）で作成されます。
実践例:
mkdir -m 777 private_dir
パーミッションを明示的に777で指定したprivate_dirはdrwxrwxrwxとなっていますが、明示的に指定しなかったdataなどではdrwxr-xr-x（755）となっています。
オプションの由来: mはmode（モード、権限）の頭文字です。
応用的な使い方：複数のディレクトリ作成
mkdirは、スペースで区切ることで複数のディレクトリを一度に作成できます。
実践例:
mkdir dir1 dir2 dir3
LPIC対策としてのポイント
mkdirコマンドに関するLPICの出題傾向として、以下の点を確実に押さえておきましょう。
-pオプションの役割: 親ディレクトリが存在しない場合にエラーにならないようにし、階層構造を一括作成する機能が最重要です。-mオプションの書式: パーミッションの指定は8進数で行うこと。- パーミッションのデフォルト: オプションを指定しない場合、最終的なパーミッションは
umaskの影響を受けること。
まとめ
今回は、新しいディレクトリを作成するmkdirコマンドについて、その基本的な使い方からコマンド名の由来、そして特に重要なオプションまでを詳しく解説しました。mkdirを使いこなすことで、Linuxファイルシステム内での作業効率と整理能力が向上します。
LPICレベル1の試験対策としては、階層作成を可能にする-pオプションの役割と、パーミッションを指定する-mオプションの書式をしっかりとマスターしておきましょう。
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