はじめに
Linuxシステムには、コマンドの使い方を学ぶためのドキュメントがいくつか存在します。その中でも、**info**コマンドは、特にGNUプロジェクトのソフトウェアに関する詳細な情報を網羅したドキュメント「Infoドキュメント」を閲覧するためのツールです。manコマンドが各コマンドの簡潔なリファレンスを提供するのに対し、infoはよりチュートリアル的で、関連トピックへのリンクが豊富な点が特徴です。
LPICレベル1の試験でも、infoコマンドを使った情報検索能力が問われることがあります。この記事では、infoコマンドの基本的な使い方から、Infoドキュメントの効率的な読み方、そしてLPIC対策として押さえるべきポイントまでを詳しく解説していきます。
infoコマンドの基本
まずは、infoコマンドの基本的な使い方と、よく使うオプションから見ていきましょう。
infoコマンドの書式
info [オプション] [トピック]ポイント: トピックを指定するだけで、そのトピックに関するInfoドキュメントが表示されます。トピックを省略すると、Infoシステムのトップページが表示されます。
コマンド名の由来：infoコマンドの「info」は、そのまま “information”（情報） を意味します。
このコマンドは、特にGNUプロジェクトによって開発されたソフトウェアのドキュメントシステムとして設計されました。GNUプロジェクトのドキュメントは、単なるコマンドリファレンスではなく、より詳細な背景情報、使い方、概念的な説明、そして関連するトピックへの相互参照（ハイパーリンクのようなもの）を豊富に含む「情報」を提供する目的で作られています。
そのため、ユーザーに「情報」を提供するツールであることから、簡潔に「info」と名付けられました。これは、man（マニュアル）が「参照のための手引書」というニュアンスなのに対し、infoは「より深い学習のための体系的な情報」を提供するという違いを反映しています。
主要オプション一覧
| オプション | 意味 | 補足 |
| -k | キーワードでInfoドキュメントを検索 | keyword |
| -f | 指定したInfoファイルを読み込む | file |
| –node | 指定したノード（ページ）から表示を開始 | – |
各オプションの詳細と実践例
ここからは、infoコマンドの各オプションやInfoドキュメントの構成、操作方法について、もう少し詳しく掘り下げていきます。
Infoドキュメントの構造と操作方法
Infoドキュメントは「ノード」と呼ばれる単位で構成されており、各ノードは独立した情報ページのようなものです。ノード間はリンクで繋がれており、ハイパーテキストのように関連情報を辿っていくことができます。
infoコマンドの出力は、通常 less に似たページャで表示されますが、独自のキーバインドを持っています。
n: 次のノードへ移動 (Next)p: 前のノードへ移動 (Previous)u: 親ノードへ移動 (Up)l: 最後に訪問したノードへ戻る (Last)q:infoページを終了 (Quit)m: メニュー項目を選択（mを入力後、項目名またはその一部を入力してEnter）s: テキスト検索（nで次を、pで前を検索）h: ヘルプを表示
実践例:
lsコマンドのInfoドキュメントを表示:
info ls
infoシステムのトップページを表示:
info
Infoドキュメント内でlsというノードへ直接移動して表示:
info --node "ls" coreutils
# または info coreutils --node "ls"（lsコマンドのInfoドキュメントは通常coreutilsという大きなInfoファイルの一部として存在します）
-k (keyword) オプション：キーワードでInfoドキュメントを検索
意味: 指定したキーワードを含むInfoドキュメントを検索し、関連するノードをリスト表示します。これは、特定の機能に関連するコマンドや概念を探したい場合に便利です。
実践例: ファイル操作に関連するInfoドキュメントを検索します。
info -k file
オプションの由来: -kオプションのkは、keyword（キーワード）の頭文字から来ています。man -kと同様に、ユーザーが特定の情報を見つけ出すために、キーワードでドキュメントを検索できるようにと追加された機能です。
-f (file) オプション：指定したInfoファイルを読み込む
意味: 通常のInfoドキュメントの検索パスではなく、特定のInfoファイルを直接指定して読み込みます。これは、カスタムのInfoドキュメントや、デフォルトのパスにないドキュメントを閲覧したい場合に役立ちます。
実践例: /usr/share/info/dirファイルの内容をInfo形式で表示します。
info -f /usr/share/info/dir
オプションの由来: -fオプションのfは、file（ファイル）の頭文字から来ています。デフォルトのInfoツリーに含まれない、あるいは直接ファイルパスを指定してInfoドキュメントを読み込みたいというニーズに応えるために追加されました。
--node オプション：指定したノードから表示を開始
意味: Infoドキュメント内で特定のノード（ページ）を指定し、そこからドキュメントの表示を開始します。これにより、ドキュメントの冒頭から読み進める必要がなく、目的のセクションに直接ジャンプできます。
実践例: info coreutilsのlsノードから表示を開始します。
info coreutils --node "ls"
オプションの由来: --nodeオプションは、Infoドキュメントの基本単位であるnode（ノード）を指定することに由来します。これにより、ハイパーテキスト構造を持つInfoドキュメントの特定の「地点」から閲覧を開始できるようになります。
まとめ
今回は、GNUプロジェクトのドキュメントシステムであるInfoドキュメントを閲覧するためのinfoコマンドについて、その基本的な使い方から主要オプション、そしてInfoドキュメントの読み方までを深く掘り下げて解説しました。manコマンドとは異なる特徴を持つinfoコマンドを使いこなすことは、Linuxの深い知識を習得し、LPICレベル1の合格にも貢献します。
特に、GNUプロジェクトのソフトウェア（coreutilsに含まれる多くのコマンドなど）に関する詳細な情報を得る際には、infoコマンドが非常に強力なツールとなります。ぜひ、日々のLinux学習や作業でinfoコマンドを活用する習慣をつけ、コマンドへの理解を深めてください。
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